ドライアイ
涙液(涙の量)が減少するなどして、角膜や結膜が乾きやすくなる状態をドライアイと言います。涙液層で目の表面が保護されなくなれば、角膜等が傷つきやすくなるほか、細菌等に感染しやすくもなるので様々な眼症状が現れるようになります。また涙の量が十分であっても質が伴わないと、角膜などはすぐに渇くなどするので、傷がつきやすくなります。
このような状態になると、目が乾く、疲れる、目の中がゴロゴロする、眼痛、かすみ目、まぶしく感じるなどの症状が現れるようになります。
発症の原因については、加齢、何らかの病気の影響(シェーグレン症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群 等)、コンタクトレンズの装用、PCやスマートフォンの画面を長時間見続けながらの目の酷使(VDT作業 等)、気候や室内でのエアコンの使用による乾燥などが挙げられます。
ドライアイの診断に関しては、問診や視診でつけられることもありますが、下まぶたにろ紙を挟み込み、涙の量を測定することで判定するシルマー試験を行うこともあります。
治療に関して、症状が軽度であれば、人工涙液やヒアルロン酸等の点眼薬を用いることで、目を潤していきます。また涙をできるだけ目の表面に留めておきたい場合は、涙の流出口である涙点に栓(プラグ)をして、ドライアイの症状を改善させる涙点プラグを行うこともあります。
角膜疾患
角膜は目の表面にあり、網膜へと入っていく光を屈折させる役割がある器官です。表面にあるので異物などが侵入しやすく、アレルギーや外傷、感染症などを招きやすいという特徴があります。角膜で生じている異常や病気を総称して角膜疾患と言います。その中にはドライアイや免疫異常による炎症なども含まれます。
角膜炎・角膜潰瘍
細菌やウイルスといった病原体が角膜に感染し、炎症を起し角膜炎、角膜潰瘍になります。細菌としては、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、緑膿菌などが挙げられます。ウイルスとしてはヘルペスウイルス、さらにカビやアメーバーによって引き起こされることもあります。
主な症状は、目の痛み、目の中がゴロゴロするなどの異物感、光がいつもよりまぶしく感じる、視力低下といったものですが、角膜混濁、目の充血などがみられることもあります。また角膜混濁が重度になると角膜を移植する必要もあります。
診断の際は、視診で眼の様子を調べる、細隙灯顕微鏡検査で傷や炎症の程度を確認するなどしていきます。
治療について
原因が特定されているのであれば、抗菌薬の点眼あるいは内服薬を使用するなどして治療していきます。またコンタクトレンズの装用が原因であれば使用を控え、再発防止策として角膜に傷をつけない対策を講じる必要があります。このほか、逆さまつげやドライアイによる角膜炎であれば、それに対する治療を行っていきます。
角膜ジストロフィ
主に遺伝的要因によって、角膜が白く濁ってしまう病気を総称した非炎症性の角膜疾患を言います。この場合、両眼で起きるとされ、角膜以外で何らかの病変がみられるということはありません。若い世代に発症しやすく、病状が進行していくと、視力低下、光をまぶしく感じやすいなどの眼症状がみられます。角膜に、様々な物質(アミロイド、ヒアリン など)が沈着し、それによって混濁するようになります。
治療をする場合、視力低下の状態や混濁の程度、患者様の年齢などもしっかり把握したうえで、レーザー治療(エキシマレーザーによる混濁部分の切除)や角膜移植などを行います。
水疱性角膜症
角膜内の水分量を調節する働きのある角膜内皮細胞が何らかの原因によって減少し、内皮細胞の機能不全が起きます。このような状態になると、角膜に多量の水が溜まり、角膜実質に浮腫がみられるようになります。これが水疱性角膜症です。
主な症状は、浮腫によって引き起こされる角膜混濁による視力低下のほか、角膜上皮が剥がれやすくなっているので角膜上皮が剥がれてしまうと痛みがみられます。また発症の原因については、白内障手術をはじめとする内眼手術が最も多く、レーザーを用いた虹彩切開術、外傷、コンタクトレンズの長期装用などで起きることがあります。
治療について
角膜内皮細胞は一度失ってしまうと元に戻るということがありません。したがって、完治させるには角膜移植ということになります。この場合、角膜全層を移植する全層角膜移植と角膜内皮のみを移植する角膜内皮移植のどちらかを選択することになります。
なお症状が軽度であれば、治療用コンタクトレンズの装用、高張食塩水の点眼や軟膏を使用することで目の痛みなどを抑えていきます。